相続手続きや不動産相続についての基本知識

相続手続きの主な流れ

相続手続き

1.相続開始

被相続人が亡くなられたと同時に《相続が開始》されます。葬儀等の準備のほか、7日以内に死亡届けを提出する必要があります。

2.遺言書の有無を確認

被相続人の《遺言書の有無を確認》します。<遺言書がある場合>は、遺言書の内容に従って相続人や相続する遺産の割合などが決まります。<遺言書がない場合>は、戸籍謄本を取り法的相続人を確定します。

※遺言書を見つけた時の注意事項※

遺言書を見つけた時は直ぐに開封してしまわないように気を付けましょう。遺言書が自筆証書遺言書や秘密証書遺言書である場合は、必ず家庭裁判所で検認の手続きを受けなければなりません。検認を行わずに開封してしまうと、5万円以下の過料が処せられる可能性があります。また、遺言書が公正証書遺言書の場合は、検認手続が不要であるため直ぐに手続きを進めることができます。

3.被相続人の遺産や債務を調べる

相続人が確定されたら、《被相続人の遺産や債務を調べる》必要があります。次に行う”相続の選択をする”上で参考になる、非常に重要な調査であるためです。遺産を調べるときには不動産を所有していたか否か、現金や預貯金の有無、保険証券との契約があるか否か等を中心に調査する必要があります。また、借金などの債務を調べる方法は、被相続人が保管していた書類や郵便物、契約書などで確認することができます。

4.相続の選択をする

《相続の選択》を行います。被相続人が残した財産は現金や預貯金、不動産等のプラスの財産だけでなく、債務、借金等のマイナスの財産もあります。そのため、「3.」で調べた被相続人の遺産や債務を元に、実際に相続を受け継ぐか否かを選択する必要があります。相続の選択肢としては、<単純継承>、<限定承認>、<相続放棄>があります。限定承認や相続放棄をする場合は、相続の開始を知った日から3カ月以内に行わなければなりません。

↑ここまでの手続き(1.~4.)は、相続の開始を知った日から3カ月以内に行うことが原則です。

5.所得税の準確定申告

《所得税の準確定申告》とは、その年の1月1日から被相続人が亡くなられるまでの期間の所得税を申告することをいいます。

↑準確定申告の手続きは、相続の開始を知った日から4カ月以内に行うことが原則です。

6-1.遺産分割協議(遺言書がない場合)

遺言書がない場合は、相続財産(預金、株式、土地など)の調査や評価を元に、《遺産分割協議》を行います。協議が成立した時には<遺産分割協議書>を作成しますが、協議が不成立となった時には<調停や審判>に移行されます。

6-2.遺言書の執行(遺言書がある場合)

遺言書がある場合は、その内容に沿って財産が分配されます。《遺言書を執行》するために<遺言執行者>を指定する、もしくは既に指定されていることもあります。

※遺言書がある場合でも遺産分割協議が行われる場合があります。

尚、相続人の中に未成年者がいる場合は法律行為が行えないため、親権者(父や母)が<法定代理人>になり、相続人に代わって協議に参加する必要があります。親権者も相続人である場合は<特別代理人>を専任することで、未成年者に代わり協議に参加することになります。

7.相続手続(不動産の相続登記や名義変更など)

遺産分割協議の内容や遺言書に沿って、《相続手続》を進めます。相続財産に多い<不動産の相続登記>や、有価証券(銀行口座や株式など)といった財産の 名義変更を行います。

8.相続税の申告・納付

相続人が被相続人から受け継いだ財産が、基礎控除額を越える場合にかかる税金のことを「相続税」といいます。相続税は相続の開始を知った日から10カ月以内に、《相続税の申告納付》する義務があります。

↑ここまでの手続き(6.~8.)は、相続の開始を知った日から10カ月以内に行うことが原則です。

不動産の相続について

不動産相続

被相続人が亡くなられた後はすぐに相続が開始されるため、相続人である人は計画的に相続手続きを進めていかなければなりません。相続する財産は、被相続人のプラスの財産とされる現金や預貯金、不動産のほか、マイナスの財産とされる債務、借金などがあります。これらの相続財産の内、全体の約4割を占めるとされるのが、《不動産》といわれています。不動産は現金や預貯金とは異なり、簡単に分割して分けられるものではないため、兄弟姉妹の間で度々問題になる財産でもあります。

《相続登記とは》

不動産を相続にするにあたり非常に重要な手続きが「相続登記」です。相続登記とは、不動産の所有者である被相続人が亡くなり、相続人が不動産を相続した場合に<土地の名義変更>や<建物の名義変更>を行うことをいいます。相続登記を行うことで不動産が相続人自身のものである証拠(登記簿謄本)にもなりますし、相続した不動産を売却するとき(相続不動産売却)には必ず必要になります。相続人が複数人いるときには遺産分割協議で、相続財産の配分を決定します。不動産の相続権を得て直ぐに相続登記をしていなかった為に、後々になって相続人同士で話がまとまらなくなり、不動産売却がスムーズに進まないことも少なくありません。相続登記をせずに不動産を放置しておくこともできますが、将来的に不動産売却を考えているようなときは、早めのうちから相続登記をしておきましょう。

●不動産の名義を変更する方法

不動産の名義を変更(相続登記)するためには、遺言書の有無が大きなポイントになります。遺言書があり不動産を相続する相続人に指定されている場合は、相続人同士で不動産を分割して名義を変更することができます。相続権がある相続人同士で遺産分割協議をする場合は、分割する方法や分配内容の決定に従い名義を変更することができます。また、遺言書がない場合は民法が定める順位に従い法的相続人を決定し、相続人になった人が不動産の名義変更をすることができます。

《相続不動産売却》

「相続不動産売却」とは、被相続人から相続した不動産(土地や一戸建て、マンション、アパートなどの建物)を相続人が売却することをいいます。相続した不動産を放置して残しておくこともできますが、時間の経過とともに<固定資産税>がかかったり、<資産価値>が下がったりと、損になることが増えてきます。マンションやアパート等の建物を相続した場合は、既に入居者がいる場合も多く、建物を維持するための管理もとても大変になります。遠方に住んでいるために不動産管理ができないような場合は、相続した不動産を売却することも少なくありません。

《相続不動産売却の主な流れ》

相続不動産売却を行うためには、①相続登記が必要です。不動産を相続したときには、早い内に被相続人から相続人の名義に変更をしておきましょう。相続登記が完了した後は、②不動産の査定を複数社に依頼します。査定額などは不動産仲介業者により大きく異なるため、一社ではなく複数社に査定をしてもらうのがポイントです。査定などの情報を元に③不動産仲介業者を選び、売却を依頼します。希望売却額に対して買主が決定すれば、売買契約が成立し④売却の手続きが完了します。

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相続不動産の売却が完了するまでの手続きには、相続人同士の遺産分割協議や相続登記の手続き、不動産仲介業者の選定など、時間や労力、法律の知識が必要になる手順が沢山あります。正しい手続きを踏み、後々トラブルが生じさせないようにするためには、早めの内から相続相談センターの専門家に相談をするなどしておくと安心です。